「冷え」には漢方薬
- 2021.11.04
冷え症の人にはつらい季節が近づいてきました。体が冷えると、様々な症状が引き起こされます。例えば関節痛・頭痛・腹痛などの痛み、倦怠感、抑うつ症状などの気分障害、胃腸の機能低下、自律神経失調症、睡眠障害、などです。
西洋医学では冷え自体の治療薬はありません。しかし漢方なら冷え症改善の薬があり、しかも体質によって使い分けることができます。
ではどういった状態で使い分ければ良いのか、ここで簡単にご紹介します。冷えに対する漢方薬は、主に冷えを3つのタイプに分けて考えます。
①体全体が冷えるタイプ
→全身的に冷えが存在します
②四肢末端が冷えるタイプ
→血流が悪く、漢方用語では瘀血(おけつ)の病態といいます
③上半身はのぼせて下半身は冷えるタイプ
→体を廻っている「気」が上方に偏在している病態です
それぞれに合う代表的な漢方方剤は以下の通りです。
①体全体が冷えるタイプ
体全体を温める熱薬である「附子」や「乾姜」が入った漢方薬用います。
代表的な方剤:真武湯(しんぶとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
②四肢末端が冷えるタイプ
瘀血を改善する漢方薬を用います。
代表的な方剤:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
③上半身はのぼせて下半身は冷えるタイプ
上方に偏在した気を下方に巡らせる漢方薬を用います。
代表的な方剤:黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
このほかにも、体質に合わせて多くの漢方薬を使い分けて冷えの治療をしていきます。
冷え症でお困りの方はぜひ一度漢方内科を受診してみてくださいね!