漢方薬が向いている症状や
疾患とは
漢方内科は、西洋医学での病名にこだわらず、症状から漢方医学的に診察して、漢方薬を処方します。西洋医学での「○○科」という分類を越えて、漢方薬で症状を改善するお手伝いをします。現在他の病院から西洋薬を処方されていても、漢方薬を併用して内服することが可能です。また、必要に応じて適切な専門科をご紹介することもできます。
その中で特に、漢方内科が得意とする症状や疾患、漢方薬を内服薬する患者様が多い症状をご紹介します。このような症状でお困りでしたら、ぜひ一度漢方内科をご受診ください。ここにはない症状でも、漢方薬でお役に立てる可能性がありますのでぜひ当クリニックまでご相談ください。
体の部位と症状
首から上
- 頭痛
- めまい
- 目の疲れ
- 耳鳴り
- 花粉症、アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎
- 舌痛症
- 梅核気(咽喉頭異常感症)
肩・胸・腹・腰
- 肩こり
- 動悸
- 腰痛
- 胃痛
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 食欲不振
- 下痢
- 便秘
手足
- 関節痛
- 冷え
- むくみ
- こむら返り
- しもやけ
皮膚
- アトピー性皮膚炎
- ニキビ
- 慢性湿疹
診療分野と症状
婦人科
- 月経不順
- 月経痛
- PMS(月経前症候群)
- 更年期障害
- 産後の体調不良
- 軽度の乳腺炎
精神科
- 軽度の憂鬱感
- 疲労倦怠感
- イライラ
- 不安感
- 不眠
その他
- 風邪
- 全身の冷え性
- 抗がん剤の副作用軽減
- 西洋医学で治療したが改善しない症状
漢方内科とは?
そもそも「漢方」とは、古代中国の「漢」の時代に作られた医療技術のことです。江戸時代、西洋文明はオランダから伝えられたため、西洋の医学は「蘭方」と呼ばれました。それに対して、中国から伝えられた医療のことを「漢方」と呼んだのです。江戸時代に漢方は日本人の体質に合わせて独自の発展をしました。しかし明治維新の時、政府は正式な医学としては西洋医学しか認めず、漢方は衰退してしまいました。現在の日本でも、医学部で西洋医学を学んで国家試験に合格しないと医師にはなれません。日本の漢方専門医とは、西洋医学を学んだ上でさらに漢方について専門的な研修を終えた医師のことです。当クリニックの漢方内科では、この西洋・東洋両方の医学知識を有した漢方専門医が、患者様の症状について総合的に診察し漢方薬を処方いたします。
漢方薬とは?
「漢方」の薬を「漢方薬」と言います。様々な薬理作用のある動植物や鉱物を生薬(しょうやく)と言い、この生薬を組み合わせて煮たり、粉にしたり、練って丸めたりしたものを内服します。基本的には数種類の生薬が組み合わさって、一つの方剤となっています。例えば有名な葛根湯(かっこんとう)は、葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の7つの生薬が組み合わさってできています。
現代での漢方薬はエキス顆粒など、袋に入った粉薬として目にすることが多いと思います。これらは生薬を煎じて抽出した湯液を、フリーズドライで顆粒状にしているものです。当クリニックでも、基本的にはこのエキス顆粒をお出しします。ただ、病状によって煎じ薬が必要と判断した場合は、煎じ薬をお出しする場合があります。エキス顆粒でも煎じ薬でも保険適用ですので、患者様の金銭的なご負担は一般的な内科等と変わりません。
漢方の診察方法
漢方は、現代のような検査のない時代に作られた医療技術ですので、患者様の状態を医師が五感を使って丁寧に把握します。そのための独自の診察法を四診(ししん)と言います。
- 望診(ぼうしん)
目を使って診察します。患者様が診察室に入ってくる様子から始まり、顔色、皮膚の状態、舌の状態等を診ます。特に舌を診るのは舌診(ぜつしん)と呼ばれます。 - 聞診(ぶんしん)
耳と鼻を使って診察します。声の大きさや質、匂い等を参考にします。 - 問診(もんしん)
現病歴、既往歴、アレルギーなど一般的な問診の他に、冷えの有無、汗や口渇の有無、排便排尿回数、睡眠の状況など、漢方独自の詳細な問診があります。初診の方は、診察前に問診表に記入して頂く必要があります。一見関係の無いような症状でも、漢方的に考えると関連している場合があるのです。 - 切診(せっしん)
触って診察します。1つは脈診(みゃくしん)と言って、手首のところの脈の状態を診ます。もう1つは腹診(ふくしん)と言って、ベッドに横になってもらいお腹を触って、抵抗圧痛などを診ます。
漢方薬の飲み方
- エキス顆粒の場合
エキス顆粒は元々煎じ薬だったものをフリーズドライにした薬です。エキス顆粒がインスタントコーヒーなら、煎じ薬はドリップコーヒーのようなものとよく言われます。なので、元の煎じ薬に近い状態に戻して飲んでもらうのが1番効果が高いと考えられます。具体的には100mlくらいのお湯に溶かして飲んで頂くのが良いでしょう。ただし、吐き気がある場合などに冷たい水で飲んでもらうこともありますので、診察時の指示に従ってください。基本的には食前30分か食後2時間の空腹時に1日3回内服しますが、症状によっては違うタイミングを指示する場合もあります。 - 煎じ薬の場合
一日分(一袋)の生薬を袋から出して、鍋に600mlの水と共に入れ、蓋をせずに弱火~中火で約40分間、半量の300mlになるまで煎じます。鍋は土鍋か耐熱ガラスを推奨します。金属の鍋は、煎じ薬の成分と化学変化を起こす可能性があるため避けた方が良いとされています。タイマー付きの便利な煎じ器も色々なメーカーから販売されています。出来上がったらすぐに生薬を茶こしなどで濾して、湯液を100mlずつ3回に分けて内服します。