副鼻腔炎とは

副鼻腔とは鼻腔の周囲にある空洞のことで、上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形洞の4つに分類されています。これら空洞の粘膜にウイルスや細菌が感染し、それらによって引き起こされている炎症を副鼻腔炎と言います。なお、副鼻腔炎は急性と慢性に分けられ、急性副鼻腔炎が治り切らないで慢性化したものが慢性副鼻腔炎です。ここでは主なものを解説していきます。

副鼻腔炎とは

急性副鼻腔炎

副鼻腔にウイルスや細菌などが感染し、急性の炎症が起こっている状態を急性副鼻腔炎と言います。風邪に続発し発症することが多く、急性に発症した4週間以内の鼻副鼻腔の感染症と定義されています。主な症状は、鼻閉、膿性鼻汁、後鼻漏、頬部痛、発熱、咳などです。乳児に発症した場合、眼窩や頭蓋内に炎症が波及することがあり注意が必要です。

慢性副鼻腔炎

鼻副鼻腔の感染が3カ月以上続いて慢性化している状態で、一般的には蓄膿症と呼ばれています。この疾患は長期化すると鼻ポリープが発生するようになるほか、鼻閉、膿性鼻汁、後鼻漏、嗅覚低下などの症状が悪化していきます。また、慢性気管支炎を併発しやすくなるので、これらの症状に気付いたら早めに医療機関で治療を行うようにしてください。

好酸球性副鼻腔炎

副鼻腔炎のひとつで、2015年に厚生労働省から難病認定された病気です。これは両側の鼻腔に多発性の鼻茸(炎症によってできたポリープ)が発生する慢性副鼻腔炎です。これにより、強い鼻づまりが現れるほか、粘りの強い鼻水も出るようになります。さらににおいに関しても鈍くなっていき、症状が進めば嗅覚が失われることもあります(嗅覚障害)。発症の原因は現時点では不明とされていて、気管支喘息、アスピリン喘息、薬剤アレルギーなど原疾患として持つケースが多いのが特徴です。

副鼻腔真菌症

真菌いわゆるカビが原因となって副鼻腔に慢性炎症が発生する病気が副鼻腔真菌症です。同疾患は、副鼻腔の周囲の骨を破壊する重症となるケース(浸潤型)もあれば、副鼻腔内にだけ病変が現れるタイプもあります。ただ前者は極めて稀です。このほか、真菌がアレルゲン(抗原:アレルギーとなる物質)となって起こることもあります。いずれにしても免疫が落ちている状態の時に発症しやすい(糖尿病や悪性腫瘍に罹患している、免疫抑制剤やステロイドの使用、白血球 など)と言われています。主な症状は、膿性鼻汁、後鼻漏、鼻閉などの症状で、風邪をひいたタイミングで急性増悪を生じ、顔面痛を生じることもあります。浸潤型では、眼窩内や頭蓋内に真菌が侵入し失明や脳炎、髄膜炎を起こすこともあります。

副鼻腔貯留嚢胞

副鼻腔に液体成分が含まれた袋(嚢胞)ができている状態で、副鼻腔の中でも上顎洞によく発生します。齲歯や外傷、感染などで生じることが主ですが、中には、歯肉を切って行う副鼻腔炎の手術を受けた方に生じる術後性嚢胞も存在します。症状については発症している部位によって異なりますが、鈍痛が鼻、目、額などにみられる、目が見えにくい、かすむ、二重に見えるなどです。副鼻腔嚢胞には急激に悪化する急性期とゆっくり症状が進行する慢性期があり、前者では突然頬に痛みや腫れ、歯などが痛むようになります。後者は嚢胞のある部分から鈍痛や違和感、腫れなどがみられるようになります。